2024年08月02日
紫式部の生き方・背景を学ぶ

「しんしろ文化財に親しむ会(小林常男会長)が7月31日、元高校教師の古市貞雄さん(86)=市内杉山在住=を講師に迎え、「紫式部の生き方やその時代背景」をテーマに講演会を開きました。
現在NHK大河ドラマ「光る君へ」が放映されていて、会員の紫式部や源氏物語への関心が高いことから、講演が企画されました、
近世文学を専門とする古市さんは、教員退職後の63歳から、17年掛けて、全54帖、文字数約100万、登場人物500人余という大長編「源氏物語」を読み終えました。
20人の会員を前に古市さんは、紫式部について語りました。漢字文化の中で、人間の複雑な心理、心を表現するには「かな」しかないとの信念があったこと、才能があり過ぎていじめに合う紫式部から千年経っても変わらない人間の心があること、食事、洗髪など宮中での大変な生活などについて述べました。「帚木(ははきぎ)」帖では、自分の恋の思いを短歌や楽器演奏で表現する男性の大変さ、女性の置かれている立場の辛さなどに触れました。
古市さんは「貴族たちは今の私たちと変わらない心を持っていた。辛くたいへんな生活を思うと、今の自分たちは幸せだと思う」と話しました。最後に、紫式部を感じることができる越前市を訪れることを勧めました。
2015年に発足した会は、月1回ほど、地域の文化財、歴史を中心に有識者による解説。現地見学や座学などを行っています。