2020年06月04日
「三河赤引糸」紡ぐ繭作り最終段階
新城市出沢(すざわ)の養蚕農家・海野久栄さん(96)が今年も蚕を育てています。
平安の時代から知られる絹糸のブランド「三河赤引糸(あかひきのいと)」を紡ぐ繭を生産しています。
海野さんは、上田市から蚕種(蚕の卵)を購入し、5月4日掃き立て、蚕を飼い始めました。桑の葉を食べ日に日に成長した蚕は、1か月ほどで約8㌢の大きさになりました。繭を作る時期を迎えると、均等に繭をつくるように回転させる回転蔟(まぶし)に蚕を入れ、風通しの良い高い場所に設置します。これが山入れ(上蔟・じょうぞく)という作業です。
きょう伺うと、いよいよ明日から3日間山入れが行われるそうです。蚕はそれぞれマスを選び、2、3日で繭をつくります。
「赤引糸」は明るく清らかな絹糸の意味があり、伊勢神宮で神が着用する冬の御衣(和妙・にぎたえ)の原料となります。和妙は、神宮の神御衣祭(かんみぞさい)で奉納されます。
できた繭は、田原市亀山町の神宮神御衣(かんみそ)御料所に送られます。
御料所では毎年6月下旬、伊勢神宮に奉納する絹糸「三河赤引糸」を紡ぐ「繰り糸始め式」が行われます。7月初めには、奉納生糸は伊勢湾を横断する伊勢湾フェリー「お糸船」で伊勢へ運ばれ、内宮へ奉献されます。ただ、今年はコロナウイルス感染拡大を受け、例年通りの「お糸船」は出ず、農業協同組合により伊勢に運ばれ奉納されるそうです。